選別機の歴史

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1930年代までの製茶工場では、「選り子」と呼ばれる女性達が、手作業で茶葉から木茎を取り除き、製品にする作業を行っていた。

当時弱冠18歳の服部善一は家業の製茶業を手伝いながら、木茎の手選別作業を何とか楽にできないかと考えていた。そこで、乾燥後の茶葉と木茎をお互いに良く擦り合わせると茶葉はマイナスに、木茎はプラスにそれぞれ逆の極性を持って帯電することを発見し、静電気を利用して木茎を除去する方法を考案した。

試行錯誤の末、1935年に世界初の茶用静電選別機A型を開発。発売と同時に茶用静電選別機の特許を取得し、同年服部製作所を設立、A型を累計100台以上製作する。

1956年、創業者服部善一が茶用静電選別機の発明に対し、紫綬褒章を受章

静電選別機はその後フレームや筐体が鉄製になり、ダイオードを使った整流方式になるなど、進化し、1960年には2段式選別のDW型を発売した。

静電選別機で,混入率50%の茎を除去すると、混入率15%程度まで下げることができ、省力化に役立つが、完全に茎を取り除くには、まだ人手がかかるという欠点があった。これを完全に自動化するため、茶葉と茎の色の違いで選別することに着目し、1964年、日本で最初の色彩選別機(H30型)を開発した。

H30型の構造
振動フィーダから落下した茶葉を光センサーが検知し、白い茎が通過すると空気弁が開き、圧縮空気で除去する

H30型の欠点であった処理量の少なさを補うため、茶葉を遠心力で回転円盤上に整列させて処理量の増加を試みる(H100型試作機 1966年)等、試行錯誤の末、V字断面のシュート上を茶葉が自然落下し、速度を上げて選別される方式を確立し(H100型量産機)、以後30年に亘り茶用色彩選別機の基本構造として採用される。 1978年には選別部分が2段階になったH6000Wを発売し、茎の混入率の多い茶葉を1回の選別で茎の無い茶葉にすることが可能になった。

1977年、茶葉の精選過程で粉や繊維状の毛葉を除去するための風力選別機VSシリーズを発売。また、1982年には、煎茶を細長い形状で切断するためのスーパーカッターHAシリーズを発売した。

1981年、よりノイズが少なく、コンパクトになった制御基板を搭載したN型を発売。さらに1983年にはN型の制御基板とイジェクタードライバーを一体化して、組立性、整備性を改善したC型を発売。国内で4000台近くを販売するバストセラーになった。また、1984年には紅茶用に海外向け輸出も始まった。
1986年には、紅茶の選別に特化した色彩選別機として、それまでのモノクロセンサーからカラーセンサーに進化したR型を発売し、インド、スリランカ、インドネシア、ベトナム等の紅茶生産国へ500台以上を販売した。

1990年にモノクロセンサ方式豆用色彩選別機NCS、1992年にカラーセンサ方式豆用色彩選別機NCO、1994年には米用色彩選別機KCシリーズを発売し、茶葉以外の市場を開拓した。

1992年に煎茶用マイクロ波乾燥機MGシリーズを発売。1999年には、カッター、篩、風力選別機、静電選別機を一体化した煎茶用総合仕上機SPシリーズを発売。煎茶精選工程の省力化、小型化に貢献した。また、総合仕上機の機能を一部省略し、荒茶を精選して付加価値を付けるための荒茶調整機LRDシリーズを発売した。

1999年にこれまでのフォトセンサに代わってCCDカメラを搭載した米用色彩選別機S2000シリーズを発売。0.3mmまでの小さな欠陥を検出できるようになり、従来の同サイズの選別機に比べて、処理能力が2倍になった。
2002年にはCCDカメラをベルトコンベア式色彩選別機に応用したBS2000シリーズを発売。2003年にはCCDカメラ方式の茶用色彩選別機GTSシリーズを発売し、色彩選別機はフォトセンサからCCDカメラの時代に移った。

2001年に50㎛の微細な異物まで検出する紛体用色彩選別機PS2000シリーズを発売。
2002年には、それまでのモノクロカメラに加えて、カラーCCDカメラを搭載した色彩選別機を発売。シュート式のCS2000、ベルトコンベア方式のBCS2000、茶葉、香辛料用のCS2000-Wシリーズをそれぞれ製品化した。カラーカメラとなったことで選別できる材料が増え、市場が拡大した。

「より低価格で処理量の大きい紅茶用選別機を」というスリランカやインドの顧客の要望を受け、2003年にベルトコンベア方式の紅茶用色彩選別機BTRシリーズを発売、またメンテナンスコストの削減の為、平面シュートを採用したFTRシリーズを2006年に発売した。

2006年、特殊赤外線カメラを搭載した緑茶用異物除去装置FMGシリーズを発売。

同じく2006年に、カラーカメラと近赤外線カメラを同時に搭載し、同色異物を含めた食品の異物除去に特化した色彩選別機DVシリーズを開発。シュート式のDVS、ベルトコンベア式のDVBS、茶、香辛料用のDVRを順次発売。

多様な顧客のニーズに対応して、2012年に立体的な対象物を4方向から検査するDVX、2013年には紛体をカラーカメラで検査するDVPS、2015年に釜揚げシラスやカット野菜などウェット食品用の色彩選別機DVBS-WETを発売。

10年続いたDVシリーズに代わるモデルとして、UDシリーズを2016年に開発。ユーザーが製品と異物を登録して プログラムを新規作成できる機能やカラー選別カメラと形状選別カメラを併用できる機能を備えた。